Introduction:
名前を伏せた人妻。静かな地方の町、川沿いにある古びたクリーニング店で、彼女はパートとして働いていた。淡々とした毎日、決まった作業、誰にも知られない存在。けれど、不況の波はその平穏さえも削り取っていく。シフトは減り、給料は先細り。誰かに頼ることもできず、ただ一人、心の奥で呟いた。「少しだけ、試してみようかな……」--ネットで見つけた、見知らぬ世界への入口。ビデオ出演。それは、ほんの出来心だった。夫には、もちろん秘密のまま。初めての撮影は、午後の光がまだ柔らかい時間帯、街外れの人気のない駐車場。助手席に座る彼女は、手を膝の上に重ね、震える吐息を漏らす。「誰かに…見られてないかな……」その言葉と裏腹に、指先はスカートの裾を静かにまくり上げていく。カメラ越しに映るその姿は、恥じらいとともに、どこか喜びにも似た甘さを帯びていた。次第に、緊張は溶け、身体は敏感に反応を返しはじめる。口に含む、手で包む、そして求める。「もう…我慢できない」--そう囁いた彼女の瞳は、どこまでも素直だった。その夜、撮影は小さなテントの中へ移る。ぬるんだ肌、こもる熱気、耳元で交わされるささやき。やがてホテルのベッドでは、しっとりと濡れた素肌がシーツに沈んでいく。汗に濡れた髪をかき上げながら、彼女は自らの指で秘部を拭い、ふと微笑む。「…まだ、したい」それはもう、妻でも母でもない、‘女’の声だった。撮影の終わり、鏡越しにふと笑ったその横顔。憂いを含んだその微笑みは、不思議なほどあどけなくて。まるで、少女の頃に戻ったかのような、無垢な‘自由’を感じさせた。あの午後、ゆるやかに吹いていた風と、汗ばむ肌に漂っていた、少し甘い匂いだけが今も、胸の奥に焼きついて離れない。